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露頭2005-10-09 Sun 21:07
第一話は、自分が学生だった頃のお話。私は某大学教育学部の学生だった。地学系の教員養成学科であったので必修科目のひとつに地質学演習というのがあった。その演習では三浦半島へ出向き、4キロメートル四方くらいの広さの露頭(地層が露出しているところ)を調べ上げ、地質図を作り、その土地がどのようにして出来たか、地質学的に説明するという内容の演習を行っていた。白いヘルメットをかぶり、地質調査用のハンマーとクリノメータ(地層の斜度を計る装置)をぶら下げ、三浦半島の金沢八景近くの露頭の状態を調べていた。
ある日のこと、露頭を調べていたら人骨を見つけた。結構切り立った崖に近いような露頭だった。人骨は頭の部分が主であごの部分と頭の部分がバラバラに落ちていた。どこかに墓地でもあるのかと露頭の上のほうを見たが墓地などはなかった。その場所の近くの民家から 40代くらいの女性が出てきたので、私は人骨が放置されている旨を伝えた。どうか成仏してくださいと手を合わせた。が、通りがかりの女性に話しただけでは、この状態をどうにか出来ないかもしれないので、私はあろうことか、人骨が放置されている証拠を見せるため、下あごのほんの一部の骨をもって金沢八景の駅に行き、駅員さんに地質調査をしていたら人骨を見つけた、と訴えた。その骨には歯が数本残っていた。私は、その駅員さんが警察に連絡してくれると、信じ込んでいた。しかし、その駅員さんの反応は意外だった。その骨を見たとたん、駅員さんは逆上したように怒り出した。「そんなものをここに持ってきて何だ」、と私を怒鳴りちらした。私は駅員さんに凄まれてすっかり萎縮してしまった。もう日が暮れて、東京渋谷のアパートに帰らなければならない、また明日もここに来るのでそのとき警察を見つけて、事情を話そうとその骨を下宿のアパートにもって帰った。いま考えると、まさに「げに恐ろしいこと」をしてしまった。 下宿へ帰り、その骨を私の四畳半のアパートで一番神聖な場所、つまり、自分の書棚にテシュペパーでくるみ、ポツリと置いた。そして不安ながらも眠りについた。気味が悪いので電灯はつけたままにした。その夜のことだった。夜中の3時頃、眠り込んでいた私は、突然、誰かにのしかかられたような感覚を覚え、ガタガタと震えだし、目が覚めた。こうなった理由は、考えなくても分かる。こんなことをしてしまったせいだ。わたしはその骨に向かって、「こんなことしてしまって、ごめんなさい。明日必ず返すから」、と両手を合わせ合掌した。そして、供養のため日本酒をテシュペーパーの上からその骨に少しかけてやった。そしてまた眠りについた。 翌朝、目が覚めた。また金沢八景まで電車で行かなければならないと、いつもより早めに出発した。駅について先ず思ったことは、警察の場所を捜すより、まず人骨があった現場に行ってみようと思った。現場に行ってみると、そこには人骨は既になく、線香とお花が置いてあった。あ、あの通りがかりの人が通報してくれたのだな、と思った。そして、ふ、と思った。 この骨どうしよう。しかたない、ここへ戻すと約束したのだから、ここへ置いてゆこう、と。その骨を線香の近くにそっと置いた。そして両手を合わせ深々と合掌し、その場を去った。 翌日、このことを学友に話したら、絶対にしてはいけないことだ、とたしなめられた。当然だ、と自分も思った。まさに「反省しなさい」の典型であった。 怪奇現象体験記で仏像の絵の中に出てきた女の人は一体誰だろうと考えた、とのくだりがあるが、ひとつだけ書き忘れた。あの時、もうひとつ心当たりとして脳裏をかすめたのは、この骨事件の事だった。今考えると、何故頭部の骨だけあそこの露頭にあったのか、全く不思議。仏像の中に出てきた女の人も頭部だけだった。。。。 これ以上、何も考えたくありませんが。。。。 |
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